FF16レビュー:RPGと呼ぶには微妙、アクションは良好

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ゲームを作りたかったのか映画を作りたかったのか。とにかく演出へのこだわりはよくわかった。70時間プレイして感じたことについてレビュー。

FFと言えば、昔からストーリーにこだわりがあることはよくわかっているが、それに加え、いつの間にかスクエニは綺麗なグラフィックや演出に異様なまでのこだわりを持つようになったと思う。

彼らはゲームを作りたいのか映画を作りたいのか正直よくわからない。

今回のFF16もまたそんな感じのゲームだった。

最初から総評

PS5を持っていて、こだわりの演出をたくさん詰め込んだ映画を1本観たい人なら購入してもOK。

デビルメイクライとアクションが酷似しているため、DMCシリーズが好きな人にもおすすめできる。

ただ、ストーリーとゲーム進行が一本道な上に演出に全てのリソースを使ったかのような感じなのでRPGとしての楽しみ(レベル上げ、探検、アイテム収集、強化、会話とそれに伴う影響など)重視の人には向いていない。

ストーリー

ゲーム序盤は次の展開がとても気になる良い作りになっているが、中盤以降になると急にダルくなる部分が多々存在する。

その上、メインストーリーの進行状況によりサブクエストがたくさん追加されるが、サブクエはメインストーリーの理解を深めたり、進行による後日談だったりと、ストーリー把握には役に立つが、これがとてもつまらなくてダルいのが問題だ。

ただし、チョコボや強力なアイテムの素材入手など一部必ずやっておいた方がいいサブクエも存在するため、それらは攻略を見ながらやればいい。

ストーリーに対する全体的な感想は、名作と呼べるほどのインパクトはなく、無難なレベルだったように思う。

ストーリーを一番の強みとして掲げているFFにしては少し残念なところ。FF16発売前から吉田氏が様々なプロモーションの場で強調していたのは「いつゲームを止めればいいかわからなくなるくらい、次が気になってしまうほどのストーリー」だったので、個人的にもとても期待していたのだが、蓋を開けてみると全然そうでもなかった。上記で述べたように序盤は良い感じの展開だったが、中盤以降一気につまらなくなってしまった感が否めないからだ。そのつまらなさをさらに加速させてしまったのが、良かれと思って追加しておいたはずのサブクエストだ。これでも頑張って全てのサブクエストを終わらせたのだが、正直メインストーリーだけやればよかったかなとも思っている。

メインプロットは小説や映画のような様々な創作物に数えきれないほど登場する復讐劇、そして悪い神を倒し、未熟でも人間の自由意志で生きていける世界を作るというとても陳腐な内容になっているので、独特で新しい物語を期待していた人はがっかりするかもしれない。

いくら人間の味方は人間とはいえ、なんでいつも最終的には人間が正しくて神は悪者扱いされるのか、甚だ疑問だ。この手のストーリーっていつも「人間は弱くて利己的で未熟で争いばかりやっている最低な存在だけど、それでも、人間は手を取り合って前に進む」「だから神の力など要らない」「むしろ神は邪魔、悪ですらある」的な結論に必ず至るのだが、いやいやw 人間に期待しすぎでしょ。笑

一体日本に神社がどれくらいあると思ってんだ。これだけ神様が多い国もないはず。ちょっとしたことにもすぐに縁起だの厄災だのと騒いであらゆるお祈りやお祓いをしてる国じゃないか。

全人類的に見ても宗教は人類にとって昔から現在に至るまで絶大な力を発揮していて争いの元になることもあるが、たくさんの人々の日々のメンタルの支えになっているのもまた事実である。はっきり言って人類と宗教は切り離して考えることはできないのだ。

ゲームはファンタジーなんだから現実とは違うよって言われるとそれまでだが、ゲームのシナリオ作家って人数が限られていて、いつもの人がいろんなゲームを手がけるからこうなってしまうのかな。

少し話が逸れてしまったが、人間こそ最高!みんなと力を合わせれば怖いものはない!というストーリーに共感する人はFF16は合ってると思う。

グラフィック

ゲームプレイは4Kモニター、画質優先モード(30 fps)で行った。

グラフィック自体は流石スクエニだけあって、それにFFということもあって、とても力を入れていると一目でわかるような作りだった。ただし、これは召喚獣バトルやボス戦などに限られる。

通常時のグラフィックはそんなに良いわけでも悪いわけでもなくごく普通のレベルでFF7リメイクでも感じたのと同じ「濁ってるような、はっきりしない」場面が多かった。特に遠くの風景は霞んでいるような描写が多く、スッキリしないぼやけている印象が強かった。

もちろんいつもそんなわけではない。最初はぼやけて見えたとしてもいつの間にか鮮明になっていたりと流動的に変わったりもした。グラフィックメモリを管理する方便としてこのような流動的処理をしているはず。

しかしやはり全体的にはどこかぼやけていると感じてしまうのは仕方なかった。その上、画面が暗くて何度もゲーム内オプションの明るさ設定をMaxにし直したり、モニター自体のガンマ値を上げたりするほどだった。開発陣の弁明では今ではだいぶ普及されつつあるHDRに合わせた色調整でこうなったらしいが、未だSDRがほとんどだろうに早まりすぎた感が強い。もうちょっと考えればわかったことだ。自分たちのゲームのグラフィックを最高に仕上げることしか頭になかったことがここでバレる。これを実際にプレイするユーザーの立場への考慮が貧弱だったということだ。

当ブログではHDRモニターについては黎明期から扱っているテーマでもあるため、HDRのメリットやデメリットについて熟知しているが、結局のところ目を保護するためにHDRをOffにしてる場合が多く、普段使いはもちろんゲームの時もHDRを切ってからプレイすることが多く、これが実情ってものだ。(もちろんこの話は最低でも800nit以上の本物のHDRの話であって市場に出回っている600nitにも達してない”なんちゃってHDR”の話ではない)

HDRをOFFにするとSDRになるわけで、SDRでは明るさをマックスにしないと不便を感じてしまうほどというのは残念な作りだとしか言いようがない。吉田氏曰く、自分たち開発陣はおっさんの集団だからかグレーとか暗い色を使いがちということを言ったような気がするが、それにしたってこれはちょっとひどい。

ただ、たまに結構明るいエリアがあったり、召喚獣バトルやボス戦の場合、すごいエフェクトと共にすごく明るくなる場面もあるが、そんなに多くない。

グラフィックについて最後に言えるのは、スクエニのグラフィックの力量というか全てのリソースは全てボス戦と召喚獣バトルに集中されているため、これらのバトルはとても見応えがあって圧巻の演出が繰り広げられるので素直にすごいと言わざるを得ない。

バトル

FFシリーズ初アクションRPGを標榜しただけあってバトルの出来は良いと思う。知っている人もいると思うが、今回FF16のバトルを担当した人はカプコンのデビルメイクライを作った人で、その人をそのまま連れてきてバトルディレクターとして任命し、バトルシステムを開発させたそうだ。そのためか、一応FFなのにバトルは完全にDMCをやってるかのような体験をすることができる。DMCと同様、爽快でスタイリッシュなバトルが楽しめるはとてもよかったと思っている。DMCの主人公たちの中でも特にネロと似てるかなと個人的には思った。

最近のアクションゲームではもはや定番となっている「ジャストガード」「ジャスト回避」「パリィ」「カウンターアタック」を全て採用していてこれらの要素が苦手でない人なら戦闘はとても楽しいものになる。

それにアクションが苦手という人たちのために最初からチートアイテムが存在するのでこれらをアイテムを装備して戦闘に臨めば、ひとつのボタンをひたすら連打するだけでプロ級の華麗なアクションを行うことができ、強い敵までもスタイリッシュに葬ることができるため、俺強えええの気分が味わえるこの配慮はとてもよくできていると感じた。もちろん腕に自信がある人はこれらのアイテムを外して自分の実力だけで戦闘すれば良いだけの話なので全員WINWINになれる。ただ人によってはチートアイテムを使うことですぐに飽きてしまい、戦闘をつまらなく感じる場合もあるかもしれない。

戦闘は基本的には主人公のクライヴのみ操作可能だが、いつも連れている狼のトルガルに簡単な戦闘指示を出すことくらいはできる。他のキャラたちはゲーム進行状況によりしばらくの間行動を一緒にしながら戦闘を手伝ってくれる程度で操作はできない。

戦闘は通常はクライヴで行うが召喚獣になってバトルを行う場合もある。召喚獣バトルはボス戦でのみできる。

クライヴは基本攻撃に加え、全部で3種類の召喚獣スキルを設定し戦うことができる。それぞれの状況はモンスターに合わせて適時変えながら戦うことになる。召喚獣ごとにそれぞれ特徴が異なるため、上手く組み合わせて戦闘に臨むことが求められるが、これがFF16バトルの一番面白いところでもある。

単体のモンスターに高火力な召喚獣スキルもあって、多数の敵に特化した召喚獣スキルもある。また、コンボに特化したものや遠距離魔法がメインのスキルもあって色々試せるようになっている。

RPG要素

このゲームは映画1本観るという感覚でプレイするのが正しい。RPG的要素は最小に抑えられていたりそもそも無かったりで、RPG的な楽しみを求めてしまうとがっかりする。

まず装備アイテムというと、そもそもその数が少なく、ボス戦以外のところから入手するアイテムの場合、使えるものがほとんどないため、一度も使わずにそのまま放置してしまう場合がほとんどだ。

また製作についても、そんなに数が揃っているわけでもないため、ボス戦で手に入れたアイテムをずっと使ってて次のボス戦で手にいれるであろうアイテムを手に入れるまでの繋ぎに過ぎない。製作アイテムの素材となるのは主にモブハンとから入手したり、サブクエから報酬でもらう。もちろん一番高レベルのモブハントから得られる素材とサブクエ後半のもので手にいれるアイテムをもとに作るアイテムは強力だが、結局ラスボスの直前まで行かないと正直入手が困難だ。

その他、マップを隈なく歩き回ってたまにレアアイテムを手にいれることもあるが、かなり限られているため、当てにならない。

村人たちとそれなりに会話をすることは可能だが、ストーリーに影響を及ぼすものは存在せず、ただの雑談、もしくはストーリー理解に少し役立つ話が聞けたりする程度。なので正直、村人と会話なんかしなくても何の問題もない。

ゲーム進行状況の把握やゲーム内登場する様々な用語を解説してくれるNPCが別途存在するため、世界観や物語の理解をより深めたい人はこれらのNPCに声を掛ければいい。

マップはかなり広い地域もあれば狭いところもあるが、そのほとんどがストーリーと関係しているとこ以外は何もない場合が多く、これといった探検要素もないに等しい。ストーリー展開の都合上、それなりの理由がある場合もあるが、やはり村人が一人もいない村はやはり寂しさを感じざるを得ない。かといって代わりに何かすごい宝箱が埋もれているかと言ったらそうでもない。本当に何もないのだ。

レベル上げに関しては、能力値が少しアップするくらいの意味しか持たず、レベル上げしたいという気持ちになれない。ただ、一定以上のレベルまで達していないとモンスターのレベルが高い地域では苦労するのでモンスターのレベルに合わせてレベル上げするくらいでいい。2週目からはレベルキャップ解放及び難易度アップが可能なので、2週目以上プレイしたい人にとっては意味があるが、1回でいいと思っている人にはレベル上げはあまり意味がないかもしれない。

まとめ

冒頭にも言ったが、今回のFF16は、PS5を持っていてこだわりの演出をたくさん詰め込んだ映画を1本観たい人なら購入しても良いと思う作品。

またDMCともアクションが酷似しているため、DMCシリーズが好きなアクションゲーム好きの人にもおすすめできる。

しかし、ストーリーとゲーム進行が一本道な上に演出に全てのリソースを使ったかのような感じなのでRPGとしての楽しみを重視する人にはおすすめはできない。

個人的にはFF14の吉田直樹氏の手がけたゲームということもあり非常に期待していたFF16だったが、正直なところ、彼と仲のいい人たちですごいすごい言いながら作った感が強いと感じた。そうやって出来上がったものが実際にとても面白く感じる人もいれば、そうではない人もいるだろう。

初週300万枚売り上げだそうだが、2週目からはかなり落ち着いてきてしまっている。PS5にこれと言ったゲームがない中で考えると良いゲームではあると思う。ボス戦の迫力と演出だけは最高のゲームだった。

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